【AGV駆動ユニットRVW® 導入事例】
株式会社坂井電機様
株式会社坂井電機様(以下 坂井電機様)は、産業機械や介護機器の設計、制作、施工を行うトータルカンパニーです。人員不足やコスト削減など、蓄積する課題を現場から解決するための無人化システムの開発に取り組んでおり、中でもAGV（無人搬送車）を主体とした全体制御システムの提案を得意としています。主力製品の1つである無人フォークリフト「Auto Lift」の駆動輪に、ナブテスコ製品のメカナムホイールRVW®を採用いただいており、今回は導入に至った経緯や導入後のお話を伺いました。
RVW®導入前課題
要求仕様にあったメカナムホイールと減速機がなく、製品を探し続ける毎日だった
坂井電機様では、省人化が難しいと言われるフォークリフトでのトラックへの積卸作業を自動化し、かつ通常のフォークリフトに近い生産性を保つことを目的として、Auto Liftの開発に取り組んでいました。生産性を保つためには機動力の高い駆動部が求められ、1輪あたり1.5～2.0ton以上のラジアル荷重を支持できるメカナムホイールの導入を計画、また車体の全幅としてはパレットと同程度の1200mm以下を目指し、そのためにコンパクトな駆動部が必要とされました。
開発を始めた2019年当初は、国内で大型のメカナムホイールを見つけることができず、中国製のメカナムホイールの導入を検討していましたが、「ホイール＋減速機＋モータ＋軸受けの全長が長く、車体の全幅に収まらない」「高耐荷重で走行に適する減速機がなかなか無い」など、多くの課題を抱えていました。
選定理由
駆動ユニットの簡素化と高い耐荷重性が決め手
高耐荷重を求めると、どうしても高トルクに対応した減速機が必要となります。減速機に関しては他社製品を比較検討していました。一方で、フォークリフトに対応できる大きなホイールは中国製しか見つからず、耐久性やメンテナンスの面での課題が解消されないため、検討が難航していました。そのような中、ナブテスコのウェブサイトでギヤインメカナムホイールRVW®の開発を知っていただき、検討が始まりました。「RVW®であれば課題を解決できる！と自信を持って訪問したことをよく覚えています。」とナブテスコの営業担当も当時を振り返ります。
その後、何度も試作を重ねた結果、次のような点が問題解決につながり、Auto Liftへの導入が決定されました。
◆インホイール構造を採用し、ホイールからインプットギヤまで一体化した駆動ユニットで、従来設計より駆動ユニットが簡素化できた
◆高容量主軸受内蔵の精密減速機RV™を使用しているため、耐ラジアル荷重が高く、モータと車体間の軸受けが不要になった
※撮影時のみマスクを外しています
導入後の感想は？
「構造がシンプルになり、全幅に対し余裕が出たことで設計が楽になりました。また、ホイールのバレル固定構造が理にかなっており、床面にナットの頭が接触しにくく緩み難いことも良い点だと思います。他の社員からは、高耐荷重にも関わらず非常にコンパクトな減速機だと驚きの声をもらっています。高耐荷重を求めると、減速機は大きくなりがち。内包する部品が大きくなれば、製品そのものも大きくなってしまう。それではメカナムホイール採用の意図が半減してしまいますから。」（担当者／小野田様）
※撮影時のみマスクを外しています
今後の展望
様々なAGVのニーズに対応するために新たな製品の開発に取り組みます
現在は小型、低床かつ耐荷重が大きいAGVのニーズが高まっており、坂井電機様では新製品の開発に取り組まれています。ナブテスコも、それらの製品に対応できる減速機やメカナムホイールの開発を続けていきます。
今回の取材を通して、メカナムホイールのもたらすメリットを改めて感じました。微小な位置合わせやスムーズな全方向移動（前後・左右・斜め・旋回）はメカナムホイールの最大の特長であり、生産性を保つうえで重要な要素だと言えます。同時に、メカナムホイールの特長を最大限に生かし、トラックへの積卸作業の自動化を実現したAuto Liftは、坂井電機様の技術力の結晶だと感じました。 今回ご紹介したAuto Liftの他にも坂井電機様との共同開発は続けています。ぜひ今後にご期待ください。
※撮影時のみマスクを外しています
株式会社坂井電機様 会社概要
■所在地 (本社･工場)
〒519-0166
三重県亀山市布気町874-21
TEL：0595-83-1855
■営業品目
無人搬送車制作・システム設計 溶接設備設計・製作（機械,電気）、搬送設備設計・製作（機械,電気） 各種電気設計・盤製作、機械据付、電気工事、試運転調整請負
■Webサイト
https://sakaidenki-mie.co.jp/